Habitaba ・ハビたば~ワタシをつくる選択と習慣~ 40代・女・ほぼ一人暮らしの私の見解。

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映画 バイオレンスシーン無し セクシャルシーン無し 筆者のおススメ(☆4つ以上)

【40女の映画レビュー】『奇蹟がくれた数式』| 英国×インドの良作、またも。心静かに"いい映画"が観たい時におススメです。

2017/12/26

英国とインド。
両国の間に起こった過去の出来事を振り返ると、筆者のような外野(おまけに歴史オンチ)が決して知ったような口を聞いてはいけないとは思いますが、ことこの2つの国がからむ最近の映画に関して言えば、なぜか不思議な魅力を放つ良作が多いような気がします。

そんな『英国×インド』の良作がまた1本。インドが産んだ天才数学者ラマヌジャンの半生を描いた実話ベースの映画『奇蹟がくれた数式』についてレビューします。

 
 

映画『奇蹟がくれた数式(原題:The Man Who Knew Infinity)』

映画情報

原題:The Man Who Knew Infinity
製作年・国:2015年・イギリス
上映時間:1時間48分
言語:英語(全篇英語。インド人同士の会話もタミル語は用いられず英語。)
バイオレンスシーン:なし
セクシュアルシーン:なし

 

◆100文字deあらすじ

インド南部の港町に住むラマヌジャンは、数学に関する天賦の才を持ち独自の研究で数々の数式を見つけ出していた。その才能を知ったケンブリッジ大学の数学者ハーディは彼を英国に呼び寄せ、共同研究を始める。

 

◆詳しいあらすじ ※ネタバレあり。記憶を頼りに書いています。間違いがあったらごめんなさい。。

1914年、インド南部の港町マドラス。数学に関する溢れんばかりの才能と情熱をもつ青年・ラマヌジャンは、仕事探しをしながら自身の生み出した数式を世に出す機会を模索していた。

在マドラスのイギリス人の下で働くインド人執事にその計算能力の高さを認められ、ようやく事務員としての仕事を得たラマヌジャン。それにより新婚の妻と母を呼び寄せ、共に暮らすことができるようになった。ある日ラマヌジャンは、イギリス人雇用主が会話の中でケンブリッジ大学の数学者・ハーディ教授の名を口にしたのを耳にし、彼にそれまでに発見した数々の数式を送る。

ラマヌジャンから分厚い封書を受け取ったハーディは、そこに記されていた既成観念を超える数式の数々に大きな驚きを覚える。初めこそ数学者仲間・リトルウッドのいたずらかと疑ったものの、そうでないと知ると、手紙の主・ラマヌジャンをケンブリッジに呼び寄せる。ハーディからの招聘を受けたラマヌジャンは、新妻を残して旅立つことに自責の念を覚えながらも、必ず呼び寄せると約束してマドラスを後にする。

ケンブリッジに到着したラマヌジャンは、すぐにハーディとの共同研究を開始する。ハーディは、ラマヌジャンの直感によって生み出された数式は、正しくは見えるが裏付けがとれておらず、公に発表するためにもきちんと証明がなされなければならないと指摘。さまざまな犠牲を払ってイギリスに渡り、不慣れな環境と日々格闘しながら暮らすラマヌジャンは、早く数式を世に出したい焦りを抱えながらも必死に証明に取り組む。

そんな中、第一次世界大戦にイギリスも参戦することになったというニュースが飛び込んでくる。菜食主義を貫くインド人学生であるラマヌジャンにとって、イギリスでの日々の生活は一層厳しいものとなっていく。妻からの便りも途絶えたうえ、いらだつ兵士から路上で乱暴を受け、精気を失っていくラマヌジャンだったが、彼の数学の才能以外の部分に興味がないハーディはその変化に気づかない。

激しい咳をやり過ごして数式の証明に打ち込んでいたラマヌジャンだったが、ある夜腹部の激痛に見舞われ重い腰を上げて病院に行く。彼は結核を患っていたのだ。病と闘うラマヌジャンの公式は日の目を見る日が来るのか。ハーディはラマヌジャンを導き、彼の才能を皆に認めさせることができるのかー。

 

キャスト

◆役名:シュリニヴァーサ・ラマヌジャン =デヴ・パテル
『スラムドッグ$ミリオネア』、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』とその続編(このシリーズ、大好き!)など、世界的スマッシュ・ヒットを収めた作品に出演した彼。知性と誠実さ、明るさと哀しみを併せ持つ、大変印象的な俳優さんのひとりです。


インド人らしい癖のある英語の発音から、てっきりインド生まれかと思っていたら、英国ロンドン生まれのブリティッシュでした。びっくり!今作では彼のひょうきんな面は封印、スピリチュアルで静かな情熱を持つ天才数学者を上手く演じています。


ちなみに、『ライフ・オブ・パイ』に出てたのは彼じゃなかったよね?と調べてみましたが、やはり違いました。(同年代のインド人俳優さん(スラージ・シャルマ)だった…。)

 

 
◆役名:G.H.ハーディ =ジェレミー・アイアンズ
どうもダニエル・デイ・ルイス(『リンカーン』でアカデミーを獲った方)と混同してしまう、ジェレミー・アイアンズ。お二人ともイギリスを代表する俳優さんで見た目も似てる…(ちなみにダニエル・デイ・ルイスのほうが10歳ほどお若い。)

ともあれジェレミー・アイアンズ、これまでの映画やドラマで見た彼がひとクセもふたクセもありそうなアクの強い役ばかりだったせいかあまり好きになれなかったのですが、今作で初めて感情移入できる役どころを演じているのを拝見し、コロッと好きになってしまいました。(ツイードとコートと雨傘の似合う紳士に弱い、というところが大きいかも。)

頭脳はブリリアントだけど、人付き合いは下手な英国人教授を、押さえた演技で演じています。…彼がローマ教皇役を演じたドラマ『ボルジア家 愛と欲望の教皇一族』もずっと観たいなと思っているのですが、なかなか機会がありません。

 

 
◆キャストについて・その他

||ジョン・リトルウッド(ハーディの理解者・同僚の数学者)=トビー・ジョーンズ
どこかで見たことが…と調べると、英国人俳優ながらハリウッドの大作(『ハンガー・ゲーム』『キャプテンアメリカ』など)にも出演されていて広く活躍されている方のようです。

が、一番「あぁ~あの!」となるのは"ハリー・ポッター・シリーズ"での『ドビーの声』。映画鑑賞前に知っていたら、ずっと"ドビーの人、ドビーの人…"と思ってしまいそう。
人付き合い下手なハーディのよき理解者として、こういう感じの人っているいる、と思わせる味のある演技をみせてくれています。

 
||ジャナキ(ラマヌジャンの妻)=デヴィカ・ビース
インドの女性って、、、深みのあるオーガニックな美しさを持つ方が多くて、憧れます。彼女もそんなインド美女のひとり。親しみが感じられる可愛さと初々しさが感じられる容貌で、1歩下がった控えめさを求められる時代にありながら冒険心を秘めた新妻役を魅力的な存在に仕上げています。


出身はアメリカ・ニューヨーク。日本でも放送されていたTVドラマ『エレメンタリー』に2エピソード出演されています。これから目にする機会が増えそうな女優さん。覚えておこうっと。

 

 

筆者の感想

>>総評

心静かにいい映画が見たいな…という気分の時に、ぴったりな映画。良作でした。

残念ながら超凡人&"ゴールが見えない努力"も苦手な筆者には、自分でも持て余すほどの才能を持つ人間の思考回路は全く分からないし、お金の計算以外で数字を足したり掛けたりすることはまずないほど数学も苦手なのですが(そもそも"『数式を世に発表する』という行為が世の中に及ぼす影響"というものが全く想像できない)、この映画を愉しむにはそれらはあまり関係ありません。

何かについて抜きんでた才能を授かってしまった人間は、自分の才能を広く世に認めてもらい役に立ちたい、という強い欲求に突き動かされるものなのだということ("承認欲求"という言葉では片付けられないような)、それを実現するにはメンターたる人物との出会いが必要なのだということを思った映画でした。

 

 

>>それぞれ表情の異なるイギリス/インドの建物や街並みに目を奪われる

インド・マドラスの街や家々、サリーや敷物に見られるエキゾチックなパターンや色彩、イギリスの重厚で落ち着いたモノクロに近い抑えた色彩が全く違った表情を見せていて、個性ある街並みフェチ?な筆者にはとても興味深かったです。見せ方がこれ見よがしでなかったところにも好感が持てました。
ラマヌジャンや彼の家族の日常の中に普通に存在しているヒンドゥーの神々への信仰にも、はっと思わせるものがあります。

 

>>地味なストーリーをここまで魅力的な映画に仕立てられるなんて。

ストーリーとしてはかなり地味です。ラマヌジャンの持っていた"アインシュタイン並み"とも表現される才能のみが非凡な存在として描かれ、その才能を持つラマヌジャン自身も他の人物もごく普通の人間。わかりやすくデフォルメされた友情やライバル関係も登場しませんが、映画として非常に魅力的に仕上がっています。

 

大人女子へのおススメ度:星4つ☆☆☆☆★

雨降りや寒い日の引きこもりDAYに、秋の夜長に、かなりおススメです。インド×英国を舞台とした映画が好きな方にとっても見逃せない1本。

 
 
おしまいです。




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