Habitaba ・ハビたば~ワタシをつくる選択と習慣~ 40代・女・ほぼ一人暮らしの私の見解。

'70年代・昭和生まれの日本女性によるブログ・実経験に基づく学びや感想を自分の言葉でつづっています。

映画 筆者のおススメ(☆4つ以上)

【40女の映画レビュー】『pk(ピーケイ)』| 最初の5分で判断するべからず。映画館を出る時にはちょっと違う自分になっているかも。

2017/12/25

映画館に入る前と、見終わって出てきた後とで、"違う自分"になったような気がする映画ってありますよね。数時間前の自分と見た目はなんら変わらないのに、内部で"システムの更新"をしたような。友達と感想を話し合っていてさえ、心ここにあらずになるような。

そういう映画にはそうそう出会えるものではないのですが、出会ってしまいました。インド映画『pk(ピーケイ)』。

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映画『pk(ピーケイ)』

映画情報

原題:pk
製作年・国:2014年・インド
日本公開:2016年11月
上映時間:2時間33分
言語:ヒンディー語・英語・オランダ語?(判別できかねたので"?"付き。母国語の字幕必須です。)
バイオレンスシーン:ほぼ無し(筆者主観)
セクシュアルシーン:露骨なものは無し(キスシーン・明るい性的表現あり)

 

◆100文字deあらすじ

はるか彼方からインドに降り立った不思議な男。大事な首飾りを盗られてしまい、それを取り返すべく彼の旅が始まる。奇怪な行動で行く先々で人々を攪乱しながらも、彼の純粋な感性はやがて皆の心を大きく動かす。

 

◆詳しいあらすじ ※ネタバレあり!!!記憶を頼りに書いています。間違いがあったらごめんなさい。。

インドの砂漠地帯。裸の男がひとり地上に降り立つ。行きずりの物盗りに、唯一身につけていた不思議な輝きを放つペンダントを盗られ、それを奪回する彼の旅が始まる。

5000キロ離れたベルギー。留学中のインド女性・ジャグーはパキスタン人男性・サルファラーズと出会い、ふたりは運命的な恋に落ちる。家族にサルファラーズとのことを打ち明けるが、彼がパキスタン人であることを告げたとたん猛反対にあう。ジャグーの父は崇拝する宗教家を頼り、交際を止めるよう説得を試みる。

宗教家の『彼はお前を裏切るだろう』の言葉が誤りであることを示して家族を納得させようと、サルファラーズとの結婚を決意するジャグーだったが、挙式当日、彼は現れなかった。

失恋の痛みを胸にインド・デリーに帰郷しテレビ局で働き始めたジャグーだったが、中身の無い軽薄な番組作りに飽き飽きしていた。価値あるネタを探していたところに、黄色いヘルメットに大量のアクセサリー、肩掛けのラジカセを身につけた風変りな男と出会う。彼から"神様・行方不明!"と書かれたビラを受け取り、ネタになると直感したジャグーは、人から"pk(酔っ払い)"と呼ばれる彼の取材を始める。。。

 

キャスト&スタッフ

◆役名:pk =アミール・カーン
済んだ大きな大きな目と、これまた大きな耳が、強い印象を残すアミール・カーン。『きっと、うまくいく』を見た方なら、説明は要りませんよね。1965年3月14日生まれ(同じ魚座だ!と思うと嬉しい)の51歳。
日本で見られる作品が少ない(今作と『きっと…』以外に『チェイス!』ぐらい…)のが残念。。。もっと出演作が見たい!と思わせる、インテリジェンスとユーモアを併せ持つ、すばらしい役者さんです。

 
◆役名:ジャグー =アヌシュカ・シャルマ
画面に映るたび『カワイイ…』『やっぱりカワイイ…』『すっごくカワイイ!』とガン見してしまった、アヌシュカちゃん。
筆者がまだ自分に似合うものをわかっていない20代だったら『ショートカットにしようかしら…』とマネっこしたくなるほどの可愛さでした。映画にキュートさを感じるのは、この方の存在感によるところが大きいと思います。
1988年生まれの20代後半、モデル出身でいま最も波に乗っているインド女優さん(パンフレットによると)、だそう。この方の出演作ももっと見たいなぁ。

 
◆役名:サルファラーズ・ユースフ(ジャグーの恋人)=スシャント・シン・ラージプート
『んまあ、見目麗しい…』と目を瞠る、これまた美しい見た目の役者さん。"繊細な感性を持つ誠実なボーイフレンド"という役どころ、美しすぎてリアリティにはちょっと欠けるけど、アヌシュカちゃんとの2ショットはキラキラまばゆい画面に仕上がっていました。いい香りしそうなオトコマエな彼、インドはさておき、日本含め海外では知る人ぞ知る存在なよう。青田買いするなら今です(笑)!

 
◆監督:ラージクマール・ヒラニ
『きっと…』の監督さんでもあるヒラニさん。アミール・カーンとのコンビがまた見られる!と期待を集めまくった今作でも、観客を裏切らない満足感を与えてくれました。ものの見方や価値観に共感できるので、やはり他の作品も観たいと思われる監督さんです。

 

筆者の感想(ネタバレあります!)

>>総評

泣いて笑って考えさせられて、ひとつのカテゴリーに収まりきらない感のあるこの映画ですが、無理くりひとことで例えると、"『E.T.』meetsインド映画"という言葉が思い浮かびました。

『きっと…』の監督&俳優がタッグを汲んだ映画である、ということ以外は事前知識全くなしに劇場に足を運んだ筆者、最初の5分くらいは『げっ!これ系の映画だったの?』と"やっちゃったかも感"を引きずりつつ見ていましたが、それを過ぎると興味を惹き続けるストーリーと個性際立つ登場人物、色彩豊かな画面にぐいぐい引き込まれ、2時間半という長尺(それでもインド映画にしては短めの部類)、まったく中だるみなく一気に駆け抜けました。

予定調和的な展開やインド映画ならではの歌と踊りなど、これが初めてのインド映画だった方には???となる要素もありますが、色んな感情を引き出してくれる、これぞ映画!と喝采したくなる良作です。

 

>>"宗教に関する違和感"に大きく共感

人間を超越したものの存在は信じているけれど、"宗教"という形で特定の神様を崇拝することは自分にそぐわないと考えている筆者。強いて言えば、"お天道様&じいちゃんばあちゃんに恥ずかしくないように生きよう"を教義?のように生きている感じです。
常日頃抱いていたそんな宗教への違和感を、ユーモラスな笑いに変えて風刺してみせてくれた今作品(まさか宗教の話が出てくるとは思いもよらなかった!)。監督の考え方が反映されているそうですが、大きくうなずいてしまったセリフがいくつもありました。公開・上映に際して物議を醸したそうですが、それを含めて複雑なインドの宗教事情を垣間見た気がします。

 

>>SFあり、恋愛あり、宗教風刺あり、家族との確執あり。ひとつにまとめ上げる手腕がスゴイ!

材料をいっぱい使った料理、一歩間違うと、どんな味にしたかったの?入れなくてもいい材料があったんじゃないの?と作ったことを後悔する出来になってしまうことがあります。映画についてもしかり。
この映画を説明するとき、SFかな?という人もいれば、宗教を風刺した映画と捉える人もいるかもしれません。そのように一つ一つが核となりうるテーマを複数扱いながらも、美味しいスープのようにすばらしくまとまっているこの作品。絶妙な味に仕上げた監督はスゴイ!

 

>>歌と踊り、色彩溢れる画面。もちろんインド映画の醍醐味も無くしていません。

インド映画といえば、おなじみの歌と踊り。今作で特に印象的なのが『赤い服に身を包んだ&色とりどりのターバンを巻いた&レイバンのアビエイターをかけたおじさんだらけ』の団体ダンス。ピンクや黄色などこれまた色彩豊かな壁や景色をバックに、ザッザッ…と地を蹴るたび土埃が舞い上がる心弾むダンスシーンで魅せてくれます。

タイ・バンコクに長期滞在経験がある筆者。バンコクの街も多色遣いなこと甚だしいのですが、心身共に元気でないと疲れてしまいます。それに対し、なぜかインドの色彩は目にも心にも優しい…なぜ?と考えたところ、"ケミカルじゃないからだ"と思い至りました。木綿や土壁、お花や木など、たとえそれがペイントされた色であるにしても、土台が自然由来ゆえのやさしさ感じる色彩なのです。

 

>>小ネタ集

◆エア・インディアのおじさん?
pkが"兄貴"と呼ぶ楽団のリーダーと思しきおじさんが『エア・インディア』のキャラクターに瓜二つ!(名前は何だろう?20年以上前はこのおじさんキャラクターが"マハラジャ・クラス(ファースト)"のタグに描いてあったので『マハラジャ・クラスのおじさん』と勝手に呼んでいるのですが。)狙ってのことかどうかは定かでないけれど、笑ってしまいました…
 
◆スーツケースがかわいい
pkが持っていたスーツケース。大胆な色遣いと柄、キッチュな素材感が可愛くって、1つ欲しくなりました!

 

大人女子へのおススメ度:星5つ☆☆☆☆☆

☆5つ=時間がなくても機会を作って見に行って!レベルのおススメ度です!観終わった後の、余分なものが洗い流されて素の自分になった感じが心地良く、人にやさしくしたくなりますよ。
ひとり映画に、友人と彼氏彼女とでも。お子さん連れは…ビミョーな空気が流れるであろうシーンがいくつか思い出されるので、おススメしません^^;

 

これもおススメ

↓筆者が大好きなインドの本。色が、色がきれいなんです!

インド ラージャスターンのカラフルな街 (私のとっておき)

  ↓必見です!!!


きっと、うまくいく [DVD]

 
おしまいです~。

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